日本経済新聞より 中小の転廃業促す

日本経済新聞(平成26年3月19日付)

 

 

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中小の転廃業促す

地銀等へ支援要請 金融庁、返済猶予から転換

金融庁は中小企業円滑化法に基づき返済猶予を受けてきた中小企業に対し、転廃業を促す方針に転換した。金融機関への立ち入り検査でこれまでは返済猶予を求めてきたが、無条件で返済を猶予するのではなく、金融機関が抜本的な企業再生に取り組むよう促す。官民ファンドの地域経済活性化支援機構で新事業に再挑戦する中小企業経営者を後押しする新制度を年内にも始める。

 円滑化法は中小企業の資金繰り支援のため2009年12月に導入され、13年3月に終了した。その後も金融庁は激変緩和のため、金融機関に「返済猶予」を求めていたが、今後は「抜本的な企業再生」を求める方向にカジを切る。近く始める地銀への検査でも取引先の持続可能性を個別に聞き取り、再生を後押しする。
 借り手の中小企業の経営者にとって、融資の返済猶予はもろ刃の剣だ。返済期限の猶予など融資条件を優遇してもらう利点がある一方、猶予期間中に返済原資となる本業の収益力が回復しないと、最終的には金融機関の支援を受けられず、倒産するリスクが高まる。破産すれば「ブラックリスト」に載り、新たな借り入れは難しくなる。
 中小企業の経営者が事業に再挑戦するうえで最大の障害は融資の8割についている「経営者保証」の存在だ。自宅など私財をすべて回収されるリスクがあり、債務超過であれば一生債務を負うことになる。こうした事態を防ぐため、金融庁は金融機関に企業が債務超過に転落したり、破産したりする前に債務を整理し、経営者の重荷を取り除くよう求める。
 (後略)


後継者不足など問題なお
 中小企業金融円滑化法が終了し、今月末で丸1年が経過する。倒産件数は1月に23年振りの低水準を記録するなど、法的整理に追い込まれる企業は激減した。一方、後継者難といった中小企業を取り巻く構造問題は解決していない。今後は金融機関が債権放棄など抜本的な金融支援に動き出すかが焦点となる。
 円滑化法に基づき条件を緩めた融資件数は高止まりしている。4月~12月は86万件に上り、申し込みに対し実行した割合も約97%。金融機関は企業のほぼ申し込み通り返済猶予に応じている。
 金融機関の貸し渋り・貸しはがしは激減。倒産は減って、今年2月まで16カ月連続で前年実績を下回った。景気回復で業績が回復する企業も出始めているが、経営者の高齢化と後継者不足という構造問題は解決していない。資産が債務を上回る状態で事業の継続を断念し、休廃業か解散した企業の数は2013年に約3万社と過去最多に上った。

 

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